† 秘密証書遺言~秘密証書遺言は内容だけ秘密にできる
¶ 秘密証書遺言を入れた封書を、公証人が証明する。
遺言者が自分で公証役場に遺言書を持っていき、確かに遺言者本人が認める遺言書であると、公証人に証明してもらう遺言書が秘密証書遺言です。いわば、自分の遺言に「確かに本人の遺言です」というお墨付をもらうための手続きです。
秘密証書遺言は自筆でも、他人に代筆してもらってたものでも、ワープロやパソコンなど打ち込みで作成したものでも構いません。ただし、署名と押印は、必ず遺言者自身が行う必要があります。
そして、その遺言書を遺言者が封筒に入れて、遺言書に押印した印鑑を使用して封印します。そのうえで、遺言者は、2人以上の証人を連れ、この封書を実印と印鑑証明書とともに公証役場に持って行きます。
公証人は、その遺言書を提出した日付と、遺言者が「自分の遺言書であることにまちがいない」と申し述べたことを封書の表に記載し、遺言者、証人とともに、これに署名押印することで秘密証書遺言であることの証明を行います。
なお、公正証書遺言の場合と同様に、証人となれる人は遺言者と利害関係のない成人に限られます。
¶ 秘密証書遺言は、遺言者以外は内容を見られない。
秘密証書遺言は、遺言を書いたこと自体を秘密にすることはできませんが、公証人も証人も封書の中身を見るわけではないので、内容を秘密にしておくことができます。
そして、秘密は完全に保ちながらも、偽造などの疑いをかけられることもなく、本人の遺言だと確定できることがメリットです。
したがって、自筆証書遺言の場合のように改ざんされたりする心配もありません。
たとえば、「遺言で認知をしたいが、他人に知られたくない。かといって、自分の死後に自分の遺言かどうか争われるようでは困る」」というような場合に適している遺言方式です。また、誰にも知られずに相続人の廃除をしたいというような場合にも向いている方法です。
なお、自筆証書遺言の場合と同様に、秘密証書遺言も、遺言者が亡くなったあとで家庭裁判所に届け出て、検認手続きをしれもらうこと必要です。
¶ 遺言の内容は秘密にできるが、確実ではない。
自筆証書遺言と同様、自分で内容を書き記すわけですから、書式の不備や内容不明などで無効になるおそれがあります。
ただし、秘密証書遺言と認めれない場合でも、遺言者の書面が自筆証書遺言としての効力が認められます。
また、自筆証書遺言によりその存在が明確だとはいえ、遺言者は本人が持ち帰って自分で保管しなければなりませんから、紛失、盗難、隠匿、破棄のおそれが全くないとはいえません。