† 取り消しと訂正の方法~遺言の取り消しと訂正
¶ 遺言の内容の取り消しは、いつでもできる。
遺言は、年に一度は内容を検討し直すとよいといわれます。熟慮して書いたつもりでも、自分の取り巻く状況は変わっていくものです。し、人の心もまた変わっていくものだからです。以前に書いた遺言を取り消すには、以下の5つの方法があります。
①前の遺言を取り消す遺言をする。
一部を取り消すときは、たとえば「平成○年○月○日付遺言中、長男△△に□□万円与えるとあるのを、××万円に変更する」という遺言を新たに書きます。
②取り消したい遺言を破棄する。
以前に書いた遺言を破り捨てるなり、焼却するなりして破棄します。
③以前の遺言と相反する遺言をする。
以前の遺言には「○○を長男△△に与える」とあっても、新しい遺言に「○○は次男□□に与える」と書けば、以前の遺言を○○に関する部分は撤回されたことになります。
④遺言書が遺言の内容に反する行為をする。
遺言に「○○の土地は長男△△に与える」とあるのに、遺言者がその土地を売却してしまったとき、その遺言を撤回したとみなされます。
⑤遺言者が遺贈の目的物を故意に隠す。
例えば、「○○の壺は長男△△に与える」と遺言してあっても、遺言者が故意にその壺を壊したときは、その遺言を撤回したことになります。
¶ 公正証書遺言の内容の一部または全部を取り消すには。
公正証書遺言の一部、または全部を書き換えたい、破棄したいというときには、公証役場に出かけて、訂正または破棄の手続きを行います。
あるいは、例えば「平成○年○月○日付、××法務局所属公証人◇◇作成同年第□□号遺言公正証書による遺言中、長男△△に7000万円与えるとあるのを、5000万円に変更する」と記した自筆証書遺言を書くことで、遺言の内容を更新します。