† 相続放棄と申述書~借金のほうが多い遺産だったとき
¶ 相続放棄をすれば、債務の返済義務を免れる。
遺産よりも債務のほうが多いことが明らかなときは、限定承認をせずに、マイナスの財産を相続しないようにするために、相続の放棄をすることができます。
また、相続人がほかの相続人である老後の母親を譲りたいとか、家族の承継者のために遺産を残しておきたい、というようば場合にも相続の放棄ができます。
どの場合も家庭裁判所に相続放棄申述書を提出するだけでよく、許可を得る必要もありません。相続を放棄すれば、亡くなった人の負債の返済責任を免れるとともに、亡くなった人の遺産(プラスの財産も含めて)とは無関係になります。 ただし、相続の放棄が、第三者から強制されたものではないことが、厳しくチェックされます。そうした主旨からも、放棄したい人が複数いても、申述書を共同で書くことができず、ひとりひとり個別に書かなければならないとされているのです。
なお、相続放棄すると、はじめから相続人ではなかったものとみなされるので、子や孫に代襲相続させることもできなくなります。
¶ 相続を放棄しても、生命保険金や死亡退職金は受け取れる。
相続を放棄しても、相続財産を構成しない生命保険金や死亡退職金は受け取ることができます。ただし、相続の放棄をすると相続権が最初からなかった、つまり法定相続人ではなくなるという扱いになるので、法定相続人の利用をできる生命保険と死亡退職金の非課税枠(それぞれひとり500万円まで)は利用できなくなります。
なお、法定順位が上位の相続人が全員相続放棄をすると相続権は次の順位の相続人に移ります。該当する相続人は、その時点相続放棄するかどうか選択する必要があります。放棄しないと債務を相続してしまう場合があるので、注意が必要です。
申立ての仕方
- 申立人: 相続放棄をしたい相続人
- 申立先: 相続開始地(被相続人の死亡時の住所地)の家庭裁判所
- 申立用紙: 相続放棄申述書※下記PDFをご利用下さい。
- 添付書類: 申述人の戸籍謄本、被相続人の戸籍(除籍)謄本、(戸籍が改製されていた場合は改製原戸籍謄本)
- 申述費用: 収入印紙800円と連絡用の予納郵便切手
- 申述期間: 相続開始を知った日から3ヶ月以内